これからの森林学入門

太田 祐子杉浦 克明園原 和夏松倉 君予(著)

太田 祐子杉浦 克明園原 和夏松倉 君予(著)

定価 2,970 円(本体 2,700 円+税)

A5判/144ページ
刊行日:2025年07月01日
ISBN:978-4-254-47064-2 C3061

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内容紹介

さまざまな側面をもつ森林について学ぶ森林学の入門書。森と私たちのかかわりを豊富な図版と写真を交えてわかりやすく説明します。〔内容〕森は生きている:森林エコシステムのしくみ/森に守られる:森林と環境/森を育てる:サステナブルな森の活用/森とつながる:森林サービスの可能性/これからの森の可能性

編集部から

はじめに
―森林科学への扉をひらこう―

 あなたは「森林」と聞いて何を思い浮かべますか。どのような「森林」であれ、ひとつ言えることは、森林は様々な生きものが複雑に関わってつくりあげる究極の循環可能な系であって、私たちにとって恵みをもたらしてくれる存在です。
 日本は国土の約7 割が森林におおわれている世界有数の森林大国です。有史以来、森林は人間の生活と切っても切り離せない重要な資源の供給源でした。そればかりでなく、現代では、人類が直面している諸課題(気候変動、災害、エネルギー、生物多様性)の解決や緩和のための重要な鍵を握る存在であるともいえます。森林を中心に様々な課題や関係を俯瞰して理解する必要がありそうです。本書はそれにこたえた全体を見渡せる入門書を目指しました。
 森林科学が扱う研究分野は、社会科学から自然科学までの多様な範囲を含みます。本書では、そのうち重要な内容に焦点を当てて5 章構成にまとめました。
 第1 章「森は生きている―森林エコシステムの仕組み―」では、多様な生命を育む森林の生態系や森林に生息する動植物について説明します。第2 章「森に守られる―森林と環境―」では、気候変動や災害と森林との関わりに焦点を当てながら人間の暮らしが森林に守られる仕組みについて説明します。第3 章「森を育てる―サステナブルな森の活用―」では、森林を資源として持続的に利用していくための仕組みについて説明します。第4 章「森とつながる―森林サービスの可能性―」では、森林を活用した教育やレクリエーションを例に私たちの暮らしとつながる森林の多面的な効果について説明します。第5章「これからの森の可能性」では、森林資源の新たな活用方法や森林に関する社会的な取り組み事例を通じてこれからの時代の人と森の付き合い方について紹介します。
 まずは皆さんの興味のある章から読み進めてみてはいかがでしょうか。各章はつながっていますので、最終的にすべての章を読むことで、全体を見渡すことができるようになっています。本書が想定する読者は、高校生やこれから森林科学を学ぼうとする大学生ですが、森林や自然環境に関心を持つ一般の方々にもぜひ読んでもらいたいと考えています。そのため、できるだけ専門用語を使わずに読みやすく理解しやすい文章、内容にすることを心がけました。より深く学びたい方のために、本文の最後に関連する専門書籍も紹介しています。
 本書の執筆のきっかけは、筆者らが小中高等学校との教育連携や探究型学習にかかわる中で、「高校生に薦めることができる森林科学の入門書はなんだろう」と思ったことでした。「森林」を学ぶことは、森林のことだけを知るのではなく、森林を通じて世の中のことを俯瞰してみる力を養うことにつながります。本書を通じて一人でも多くの人に森林の世界に足を踏み入れてもらえることを願っています。
 最後に、本書の完成にご協力いただいた方々に感謝を申し上げます。また、本書を出版する機会を提供してくださった朝倉書店の方々にお礼申し上げます。

 2025 年6 月
  太田祐子・杉浦克明・園原和夏・松倉君予

目次

第1章 森は生きている:森林エコシステムの仕組み
 1 森林エコシステムとは何か
 2 森林に暮らす生きもの
 3 森林の生きもののつながり
 4 循環する森、移りゆく森

第2章 森に守られる:森林と環境
 1 森林と水
 2 森林と土
 3 森林と気候
 4 森の健康

第3章 森を育てる:サステナブルな森の活用
 1 これまでの森林利用の歴史
 2 現在の日本の森林
 3 木材生産のための森づくり
 4 森をめぐるつながり
 5 森林を守り支える世界的な動き

第4章 森とつながる:森林サービスの可能性
 1 森への入り口
 2 教育のための森林活用
 3 森林レクリエーション
 4 森林ツーリズム
 5 森林の癒しの効果
 6 五感で感じる森の恵み

第5章 これからの森の可能性
 1 森から生まれるエコマテリアル
 2 森と共生する社会

コラム1 森林科学の魅力
コラム2 山地災害対策の転換点:ハードからソフトへ
コラム3 熱帯林の保全
コラム4 スギ・ヒノキ花粉症はなくなるのか?
コラム5 森林の長期モニタリング
コラム6 森林で活用される先端技術
コラム7 小田原の木の地産地消による人のつながり
コラム8 森林での野外教育って何だろう
コラム9 都市の中での木材利用
コラム10 宇宙から見た森林

執筆者紹介

◆執筆者(五十音順)
太田祐子  日本大学生物資源科学部
杉浦克明  日本大学生物資源科学部
園原和夏  日本大学生物資源科学部
松倉君予  日本大学生物資源科学部

◆コラム執筆者(五十音順)
亀山翔平  東京農業大学地域環境科学部
齋藤央嗣  神奈川県自然環境保全センター
佐藤 健  小田原市森林組合
白木克繁  東京農工大学農学研究院
中静 透  森林研究・整備機構
中嶋一郎  住友林業株式会社
野口聡一  宇宙飛行士
正木 隆  近畿大学農学部
山田 亮  北海道教育大学岩見沢校
吉村充則  日本大学生物資源科学部

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