ケンブリッジ英語百科事典

デイヴィッド クリスタル(著)/中島 平三田子内 健介(監修)/児馬 修伊藤 たかね千葉 修司藤井 洋子(監訳)

デイヴィッド クリスタル(著)/中島 平三田子内 健介(監修)/児馬 修伊藤 たかね千葉 修司藤井 洋子(監訳)

定価 29,700 円(本体 27,000 円+税)

A4判/672ページ
発売予定日:2024年11月08日
ISBN:978-4-254-50035-6 C3582

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内容紹介

David Crystal, The Cambridge Encyclopedia of English Language, 3rd ed., 2018の全訳。コラム多数,ビジュアル豊かな構成で英語の歴史・構造・文化を総覧する。〔内容〕英語の歴史(英語の起源,古英語,世界の英語,他)/英語の語彙(レキシコンの性質・形成・構造,語源学,他)/英文法(語の構造,語類,文の構造)/話しことば・書きことばとしての英語/英語を使う(地域的・社会的・個人的変異,他)/英語について知る(母語としての英語、英語学習,他)

編集部から

推薦文:若い人に読んでほしい、個性光る英語百科

 一流の学者が一人で書き上げた『ケンブリッジ英語百科事典』は、信頼度抜群でありながら四角四面ではない。著者デイヴィッド・クリスタルの人柄がほのかなユーモアとなって漂っている。例えば、分離不定詞に関しては、ジョージ・バーナード・ショー以下、作家や学者のコメントが時代順に並ぶのだが、そこにそっとクリスタルの自著からの引用も忍ばせてある。それがまた、分離不定詞の採用により、to boldly goは英語にとって自然なリズム、弱強弱強になっているという鋭い指摘なのだ。ちなみに、to boldly goはSFテレビドラマ『スター・トレック』冒頭の語りに出てくる句なのだそうで、クリスタルがフアンなのか、『スター・トレック』は他にも4ヵ所で顔を出す。喜ばしいことに、この面白くてためになる事典が日本語でも読めるようになった。高校生など若い人たちがこれを手にとり、授業科目の枠の外に大きく広がる驚くべき英語の世界に触れてくれることを切に願う。

真野泰(学習院大学)

*

日本の読者への序

 私はかねて,『ケンブリッジ英語百科事典(Cambridge Encyclopedia of the English Language)』―好んでCEELと呼ぶのだが―のような本は,翻訳不可能だろうと考えていた。だが,素晴らしい日本語翻訳チームの専門的な識見と細部に至るまでの
周到な目配りのお陰で,私が間違っていたことを喜んで認めたい。
(中略)
 私は1980 年代以降に数回日本を訪れ,学会や大学における講演というやりがいのある機会に恵まれた。私は,妻とともに,もう一度はさらに二人の小さな子どもとともに,旅行した際に受けた温
かなもてなしを,この上なく幸せに記憶している。息子のベンは,こうした記憶がきっかけになって,最近シェイクスピア・アンサンブルの団員と一緒にいくつかの都市を訪れ,同じような温かい歓迎を受けている。何度か私たちは,新たな仲間が英国を訪ねて来た
際にお返しの歓迎をすることができた。しかし本を翻訳することは,特にそれがCEEL のように大規模で広範に及ぶ本の場合には,親愛の絆を特別な仕方で新たなものにする。日本人読者の皆さんがご自身の母語を媒介にして英語の探究を楽しまれることを,心から願っている。

デイヴィッド・クリスタル「日本の読者への序」(本書所収)より一部抜粋

目次

1 英語を模型にすると


Ⅰ 英語の歴史


2 英語の起源

3 古 英 語
草創期/古英語の言語資料/最古の英文学/古英語の文字/古英語の発音/古英語文法の特徴/古英語の語彙/語彙的侵略/古英語の方言

4 中 英 語

古英語からの変化/中英語コーパス/チョーサーの偉業/中英語のつづり/ノルマン人の影響/中英語の発音/中英語の文法/中英語の語彙/中英語の方言/中期スコットランド英語/標準英語の起源

5 初期近代英語
過渡期のテキスト/聖書の時代/ルネサンス期の英語/シェイクスピアの影響/欽定訳聖書/正書法の登場/ルネサンス期の句読法/音変化/初期近代英語の文法/安定性を求めて/ジョンソンの辞典

6 近代英語
規範文法の台頭/新しい国家,新しいテーマ/米国のアイデンティティー/規則を破る/変種に対する気づき/文学者の発言/ディケンズの言葉/今も人の記憶に残る/最近のトレンド/言語学的ミーム

7 世界の英語
方言差/黒人英語/南半球/ニュージーランド/南アフリカ/南アジア/植民地のアフリカ/東南アジアと南太平洋/世界語/何百万人? 拡大円圏/標準英語/英語の将来/1つの言語か多くの言語か/脅威の英語/脅かされる英語/ENGLEXIT かA NEW/ENGLENTRANCE か?/ユーロ英語


Ⅱ 英語の語彙


8 レキシコンの性質
語彙素/英語のレキシコンはどれくらい大きいか?/略語/固有名詞/あなたのレキシコンはどれくらいの大きさか

9 レキシコンの形成
本来語彙/外国語からの借用語/語彙の構造/独特な構造/語彙創造/文学での新語作成法

10 語源学
意味変化/民間語源/名前/新世界の英語の地名/人名/物の名前

11 レキシコンの構造
意味の場/シソーラス/歴史シソーラス/語彙の構造

12 レキシコンの諸側面
含みのあるレキシコン/生きているレキシコン/死にゆくレキシコン,/死んだレキシコン


Ⅲ 英文法


13 文法神話
「~を知っている」と「~について知っている」/伝統文法/重要な教科/規範文法/21世紀の遺産/文法の主要な部門

14 語の構造
形容詞/名詞:数/名詞:格/動詞

15 語類
類の感覚/名詞類/代名詞類/形容詞類/副詞類/動詞類/前置詞類/接続詞類

16 文の構造
文の諸タイプ/文構造の諸レベル/文の機能/節要素/句/動詞句の意味/多重文/多重構造/そのほかの統語的論点/評言を加える/発話を伝達する/文の情報/文を越えて/文法の逆説


Ⅳ 英語の話しことばと書きことば


17 音声体系
母音/母音の解説/母音の体系/子音/音節/連続した発話/韻律/音象徴/実際に行われている発音

18 書記体系
アルファベット/文字の特性/文字の分布/文字象徴/筆跡分析/文字論的多様性/そのほかの図形的な応用例/英語のつづり字/つづり字改革/句読法/変わりゆく句読法/句読点/句読点問題


Ⅴ 英語を使うこと


19 さまざまな談話
談話の構成/ミクロ言語学研究/語用論/認知的アプローチ/テクストと言語変種/話しことばと書きことば/混合媒体/独話と対話/対話における予期せぬ特徴/独話における変異/対話における変異/新たなテクストの世界/汎時性

20 地域的変異
国際と国内/英語圏の1日/2つのモデル/アメリカ英語とイギリス英語/アメリカ英語における地域的変異/イギリス英語の変異/イングランドの方言:昔と今/スコットランド英語の変異/ウェールズの英語/アイルランド英語/カナダ英語/カリブ海英語/クレオールの特徴/オーストラリア英語/ニュージーランド英語/南アフリカ共和国の英語/新しい英語たち:予備的議論/新しい規準/文化の話

21 社会的変異
RPよ,安らかに?/規範的態度/性の問題/変化の速度/職業による言語変種/宗教の英語/科学の英語/法律の英語/平易な英語(プレイン・イングリッシュ)/政治の英語/会話における雄弁術/ニュースメディアの英語/ジャーナリズム言語学/テレビ・ラジオ放送/スポーツ実況中継/広告の英語/制限された英語/新しい流行/新技術

22 個人による変異
逸脱/ワードゲーム/規則破りの言語変種/ことばの縁/言葉によるユーモア/コミック・アルファベット/言語変種によるユーモア/文学的観点から見た自由/言語学的観点/視覚的形式/文法的観点から見た自由/談話的観点から見た自由/言語変種の観点から見た自由/アイデンティティーの実証/法言語学

23 電子通信上の変異
EMCにおける4つのジャンルと/その特徴/予測不可能性/新しい媒介/インターネットのルドリング/EMCに対する認識/語彙の特性/文字の視覚的特徴/書記学的な特徴/新しい句読点/絵文字/文法的な特徴/自由散文/談話の特徴/語用論的な特徴/アスキーアート/句読点アート/検索言語学/研究の方向性


Ⅵ 英語について知る


24 母語としての英語の習得
文法の発達/基盤となる年齢/言語の産出/治療的介入/欠損のある言葉

25 英語学習の新しい方法
コーパス革命/ウェブのコーパス?/インターネット時代/Nグラム/さまざまな辞書/辞書の巨人たち/オックスフォード英語辞典/古いものに新しいエントリーを/いくつかの新機軸/ワードツリーR/英語の認可/情報源と資源


補遺


付録


Ⅰ 用語解説
II 特殊記号と略語
III 参考文献
IV 関連機関一覧
V さらに学びたい読者のための文献
VI 語索引
VII 人名索引
VIII 事項索引
謝辞

執筆者紹介

日本語版監修者

中島平三 東京都立大学名誉教授
田子内健介 埼玉大学教育学部教授


監訳者

児馬 修 東京学芸大学名誉教授 (I部監訳)
伊藤たかね 東京大学多様性包摂共創センター特任教授 (II部監訳)
中島平三 東京都立大学名誉教授 (III部監訳)
千葉修司 津田塾大学名誉教授 (IV,VI部監訳)
藤井洋子 日本女子大学名誉教授 (V部監訳)


訳 者 ( )内は担当箇所

中島平三 東京都立大学名誉教授 (序文,1章,III部扉,13章)
児馬 修 東京学芸大学名誉教授 (I部扉,2章,5章)
保坂道雄 日本大学文理学部教授 (3章)
内桶真二 茨城女子短期大学表現文化学科教授 (4章)
服部義弘 静岡大学名誉教授 (6章)
井川壽子 立正大学文学部教授 (7章 pp.98-109)
池頭純子 大妻女子大学短期大学部家政科教授 (7章 pp.110-125)
伊藤たかね 東京大学多様性包摂共創センター特任教授 (II部扉,12章 pp.191-199)
磯野達也 成城大学社会イノベーション学部教授 (8章)
長野明子 静岡県立大学大学院国際関係学研究科教授 (9,10章)
杉岡洋子 慶應義塾大学名誉教授 (11章 pp.166-173)
由本陽子 大阪大学名誉教授 (11章 pp.174-181)
大関洋平 東京大学大学院総合文化研究科准教授 (12章 pp.182-190)
行田 勇 大妻女子大学比較文学部教授 (14章)
松山哲也 和歌山大学教育学部教授 (15章)
田子内健介 埼玉大学教育学部教授 (16章)
千葉修司 津田塾大学名誉教授 (18章 pp.284-297,25章 pp.498-506)
梅田紘子 武蔵野学院大学名誉教授 (IV部扉,17章)
大名 力 名古屋大学大学院人文学研究科教授 (18章 pp.268-283)
藤井洋子 日本女子大学名誉教授 (V部扉,19章 pp.299,310-315)
早野 薫 日本女子大学文学部教授 (19章 pp.300-309,316-317)
植野貴志子 ノートルダム清心女子大学文学部教授 (20章 pp.318-337)
重光由加 東京工芸大学工学部教授 (20章 pp.338-359)
浅井優一 東京農工大学大学院工学研究院准教授 (20章 pp.360-385)
八木橋宏勇 杏林大学外国語学部教授 (21章 pp.386-401)
多々良直弘 桜美林大学リベラルアーツ学群教授 (21章 pp.402-419)
髙梨博子 日本女子大学文学部教授 (22章 pp.420-437)
成岡恵子 東洋大学法学部准教授 (22章 pp.438-451)
砂川千穂 Welocalize,Inc., 前テキサス大学 (23章 pp.452-475)
伊藤益代 福岡大学人文学部教授 (VI部扉,24章)
成田眞澄 津田塾大学総合政策研究所客員研究員 (25章 pp.488-497)
江頭浩樹 大妻女子大学比較文化学部教授 (付録I用語解説)

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