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内容紹介
定評あるオックスフォード辞典シリーズの一冊,D.Keown著“Buddhism”の翻訳。項目は読者の便宜をはかり五十音配列とし,約2000項目を収録。印中日のみならず,スリランカ,タイ,チベット,韓国等アジア各国に伝わり独自の発展を遂げた仏教用語,さらに欧米における仏教についても解説。仏教文化に馴染みのない西欧の読者向けに編まれた本辞典は,日本の読者にとっては基本的な知識を新鮮な視点から説き起こす,平明かつ詳細な必携の書となっている。
編集部から
○宗教学や関連学科で学ぶ学生から,実践活動を行う仏教徒まで,仏教について明快で正確な知識を求めるすべての人にとって大きな価値を持つ辞典.
○主な宗派の歴史と教義,アジアおよび西欧における仏教の広がり,現代的な問題への対応など,広範な内容を含む.
・各地域ごとの専門家の協力のもと,仏教研究の第一人者が執筆した約2000の項目
・信仰,教義,方針,著名な僧,宗派,研究者,地名,文化遺産などを収載
・付録として,仏教史における重要な出来事をまとめた年表や経典解説を掲載.
(監訳者序文より)
仏教辞典の類は数多くあるが、日本で出版されているものは、多く日本仏教を中心として、それと関連するインドや東アジア関係の項目を収め、それも古典文献に出る語彙や概念の説明が中心である。確かに日本の仏教を理解するためには、それで十分である。しかし、世界の仏教の伝統はインド、東南アジア、チベット、東アジア、そして欧米と、きわめて広い地域にわたり、かつまたそれは過去の死んだ伝統ではなく、現在生きてますます発展している。こうして世界中に広がり、しかも紀元前から始まって現在進行形で進んでいる仏教の全貌を理解するためには、一地域に限定された視点を捨てて、まさに地球規模で見ていかなければならない。
そんなことは到底不可能そうに思われるが、本書では驚くべきことに、それを実現している。私たちには全くなじみのない東南アジアの現代の仏教者の名前が出るかと思うと、オウム真理教もあり、また、幹細胞研究とか、クローン化など、現代の宗教倫理上の大問題も正面から取り上げられている。必要な語彙を調べるというだけでなく、ちょっと仕事や勉強に疲れた時に、手元においてぱらぱらと気の向いたところを開くだけで、思わぬ発見がある。
本書が仏教に関心を寄せる人たちに愛用されることを願ってやまない。 (末木文美士)
執筆者紹介
・原著者
Damien Keown (ダミエン・キーオン)
ロンドン大学ゴールドスミス校歴史・文化学科教授.
英国・アイルランド王立アジア協会会員.
著書に“Buddhism: A Very Short Introduction”(1996)など.
・監訳者
末木文美士
1949年 山梨県に生まれる
1978年 東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了
東京大学教授,国際日本文化研究センター教授を経て
現 在 東京大学名誉教授
文学博士
・編訳者
豊嶋悠吾
1977年 香川県に生まれる
2005年 東京大学大学院人文社会系研究科修士課程修了
■訳者
豊嶋悠吾、石原美里、岩崎陽一、大西 紀、近藤隼人、田村航也、中西俊英、平井敦夫、廣瀬朋美、宮崎展昌、八尾 史