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郷土史大系 宗教・教育・芸能・地域文化
内容紹介
主に精神的・文化的側面を取り上げる。〔内容〕宗教(古墳,修験・山伏,講,伊勢参り,隠れキリシタン)/教育(藩校,算額)/芸能(能・狂言・謡曲,相撲,祭・神楽,越後獅子,華道)/地域文化(遺跡保存,句碑・歌碑・記念碑)/他
編集部から
日本民俗学会発行『日本民俗学』306号に書誌紹介が掲載されました。
○本シリーズについて
(「刊行のことば」より)
朝倉書店では,1955年に『郷土史辞典』,1969年に『新版郷土史辞典』,そして2005年には『郷土史大辞典』(上・下)を刊行してきた。
ここで用いられた「郷土史」とは,「地方史」「地域史」の概念をも包含する広義の「郷土史」であり,都市と農村とを問わず,郷土・地域の生活に密着した,人々の「生活の場の歴史」を意味する。すなわち,ここでいう郷土・地域とは,行政区画としての藩とか都道府県市町村という単位ではなく,時によっては,その区分を超えた「暮らしの場」の意である。
第二次世界大戦後,社会の変貌はきわめて急速であり,かつ著しい。この変動を過去・現在にわたって記録し,また将来を見通すためには,いかなる視角・方法が求められるのか。それは,単なる「郷土史」あるいは「郷土史概説(通史)」では叙述しきれないものであり,それを可能にするためには,まず当面する課題を解明するための「主題」を設定し,そのうえで,それにそう時間的・空間的な広がりをもった叙述を,具体的な地域の事例に基づいて行うことが望ましいと考えた。
この私どもの意図が十分に伝わるよう,平易な叙述を心がけ,地図・写真・イラストなどを多用して,本書の内容が理解しやすくなるように努めた。
繰り返し述べるが,本大系は,用語の辞典的な説明に終わることなく,また単なる教科書的な概説にならぬよう,あくまでも「生活の場としての郷土」の歴史を描くことをめざすものである。
(監修者一同)
○本書について
(序文より)
本巻では、わが国の歴史において、人々の生活の基盤である郷土・地域がいかなる変遷をみせたかについて、「宗教」「教育」「芸能」「地域文化」を対象に、主として精神的・文化的側面から具体的に検討している。その意味では、まさに郷土を郷土として成り立たせている要素、およびその特色を取り上げているといえるだろう。
しかし、こうした分野でも、郷土は時代によって、大きな問題や変化に直面してきた。とくに現代は「地方の時代」という掛声にもかかわらず、地方の衰退や疲弊、大都市への人口集中が進んでいる。そこで本巻では、こうした現状を踏まえながら、過去のふくよかな地域文化を振りかえることにより、その意味や意義を捉え直し、新たな地方の再生のために役立たせたいと考えている。
目次
I 宗教
1. 原始社会の宗教 〔時枝 努〕
2. 古墳の地域的特色と陵墓(問題) 〔谷口 榮〕
3. 国分寺 〔根本 誠二〕
4. 宗教的職能者
4.1 山岳信仰 〔西海 賢二〕
4.2 修験・山伏
4.3 霞の実態 〔松野 聡子〕
4.4 巫女 〔川島 秀一〕
5. 祭神と本尊
5.1 寺院の分布と「巡り」の信仰 〔大森 惠子〕
5.2 全国の神社分布 〔大東 敬明〕
6. 宗教的集団組織
6.1 宮座 〔渡部 圭一〕
6.2 講 〔滝口 正哉〕
7. 宗教的行動文化
7.1 伊勢参り 〔原 淳一郎〕
7.2 巡礼・遍路 〔小嶋 博巳〕
7.3 七福神 〔長沢 利明〕
8. 近代の宗教
8.1 教派神道 〔林 淳〕
8.2 新宗教 〔島薗 進〕
9. 弾圧された宗教
9.1 キリスト教(隠れキリシタン) 〔大橋 幸泰〕
9.2 隠れ題目 〔中尾 堯〕
9.3 隠れ念仏 〔森田 清美〕
II 教育
1. 古代・中世の教育 〔大戸 安弘〕
2. 近世の教育
2.1 藩校 〔大藤 修〕
2.2 私塾・寺子屋(手習塾) 〔石山 秀和〕
2.3 心学 〔森田 健司〕
2.4 蘭学 〔矢森 小映子〕
2.5 筆子塚 〔石山 秀和〕
2.6 算額 〔深川 英俊〕
3. 郷学・公立小学校・私立小学校などの地域性 〔藤野 敦〕
4. 高等教育機関の特色 〔岩田 一正〕
5. 昭和戦前期の初等教育 〔伊藤 純郎〕
III 芸能
1. 能・狂言・謡曲 〔林 和利〕
2. 歌舞伎
2.1 江戸の「芝居町」 〔加藤 征治〕
2.2 農村歌舞伎 〔西海 賢二〕
2.3 芝居茶屋 〔今野 澄玲〕
2.4 操り芝居(人形浄瑠璃)と文楽 〔是澤 博昭〕
3. 吉原と岡場所 〔加藤 征治〕
4. 相撲(勧進相撲) 〔土屋 喜敬〕
5. 興行
5.1 大道芸(居合抜き、軽業) 〔光田 憲雄〕
5.2 見世物からサーカスへ 〔加藤 征治〕
6. ロンドンの生人形 〔福原 敏男〕
7. 祭りと神楽 〔鈴木 正崇〕
8. 動物競技
8.1 牛相撲 〔鈴木 昭英〕
8.2 闘鶏 〔中村 淳子〕
9. 門付
9.1 越後獅子 〔鈴木 昭英〕
9.2 三河万歳 〔林 淳〕
9.3 ゴゼ 〔鈴木 昭英〕
10. 音曲・話芸
10.1 伝統音楽と郷土史 〔小島 美子〕
10.2 落語・講談・手品 〔延広 真治〕
11. 遊戯
11.1 囲碁 〔高尾 善希〕
11.2 将棋、綱引、競渡ほか 〔高橋 浩徳〕
12. 芸道
12.1 華道 IKEBANA 〔笹岡 隆甫〕
12.2 香道 〔大倉 基佑〕
12.3 茶の湯 〔鈴木 正崇〕
12.4 書道 〔名児耶 明〕
13. 武芸 〔甲野 善紀〕
IV 地域文化
1. 「郷土芸能」の現在 〔水谷 類〕
2. 郷土の祭り
3. 博物館・美術館 〔吉田 政博〕
4. 遺跡保存運動 〔谷口 榮〕
5. 文芸
5.1 川柳 〔山本 光正〕
5.2 俳諧、文学・文芸関係出版物 〔横浜 文孝〕
6. 句碑・歌碑・記念碑 〔松崎 憲三〕