社会調査の基本

杉山 明子(編著)

杉山 明子(編著)

定価 3,740 円(本体 3,400 円+税)

A5判/196ページ
刊行日:2011年03月25日
ISBN:978-4-254-12186-5 C3041

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内容紹介

サンプリング調査の基本となる考え方を実例に則して具体的かつわかりやすく解説。〔内容〕社会調査の概要/サンプリングの基礎理論と実際/調査方式/調査票の設計/調査実施/調査不能とサンプル精度/集計/推定・検定/分析を報告

編集部から

『社会調査の基本』改訂版刊行にあたっての担当編集者からのご挨拶

 本書は,「まえがき」にもございますように,1984年弊社刊行の同名書の改訂です.今回の改訂にあたっては多くの方の手をかりることになり,杉山明子「著」から「編著」となりました.ただし,枠組みそのものはさほど大きくは変えたわけではありません.
 旧版は1999年の16刷まで,文字通りの「基本」的な教科書として,好評を得ました.ただ,刊行後四半世紀も経っており,見方によってはひとつの歴史的役割を終えたとも見えましょう.とりわけ,90年代後半以降は数多くの社会調査の教科書が刊行されました.それぞれ「わかりやすさ」を工夫したり,事例調査と統計調査の記述の「バランス」をとったりなど,なかなか凝った作りのものも少なくございません.たとえば,これらの中でも頭一つ人気が高い『社会調査のアプローチ』の初版刊行年が1999年というのも,世代交代を告げるかのようです.
 さて,本書の改訂にあたって,社内でも賛否両論はございました.たとえば,新しい著者で,新しい試みをするべきではないか,などと.しかしそれでも,あえて本書の改訂にこだわった大きな理由のひとつが,本書における実験調査をはじめとする調査データの豊富さです.旧版の記述をそのまま残した部分もあれば,調査方式の比較研究(4.6節)のように,新たなものに差し替えられた部分もございます.この数十年で日本国内でも数多くの社会調査がおこなわれてきました.多くの経験やデータが積み重ねられているはずです.実はある時期に私も,社会調査の教科書をまとめて手にとってみたことがあるのですが,この種の特徴を売りとする教科書は意外にもまだまだ少ないように感じました(もしくは部分的であったりします).もちろん,その背景には,紙面の制約など,さまざまな事情が考えられましょう.
 旧版から引き継いでいる本書のデータは,時間的には確かに「古く」なってしまっています.しかし,その価値も古くなったとは言えません.たとえば,5.5節に見られるように,分析対象を「無回答」にしぼった論考は,今なお興味深いものがあります.「DK」や「特にない」「わからない」といった回答結果が多い調査項目は,あまり高く評価されないこともあります.しかし,こうした部分をも考察の対象とすることで,次回につなげられる方法論的知見を得られることを,ここの記述は示唆してくれます.
 本書は,「わかりやすさ」や「バランス」といった最近の流行の特徴は持ち合わせてはいませんが,「基本」というものはそうは変わるものでもないものとかと.むしろ,調査データを新たに読み解くことで,新鮮な発見もあるのではないか,と担当編集者としては感じております.こうした本書の特徴が調査法研究の発展に資するのを期待する次第です.

 2011年4月
 

目次

1. 社会調査の概要     〔杉山明子・氏家豊〕
 1.1 社会調査の種類
 1.2 世論調査の現況

2. サンプリングの基礎理論     〔杉山明子〕
 2.1 サンプリング
 2.2 無作為抽出法
 2.3 サンプリング誤差
 2.4 系統抽出
 2.5 段階抽出:二段・多段抽出
 2.6 層別抽出

3. サンプリングの実際     〔杉山明子〕
 3.1 抽出単位
 3.2 抽出台帳     〔小野寺典子〕
 3.3 サンプル数の決め方
 3.4 調査地点数の決め方:二段抽出の実際
 3.5 層別抽出の実際:全国調査の場合  〔小野寺典子〕
 3.6 系統抽出の実際
 3.7 ウェイトづきサンプリング
 3.8 抽代替サンプルを使用すべきではない理由 〔小野寺典子〕
  
4. 調査方式      〔杉山明子・氏家豊〕
 4.1 調査方式の種類と特徴
 4.2 個人面接法
 4.3 配付回収法
 4.4 郵送法
 4.5 電話法
 4.6 調査方式に関する実験調査   〔小野寺典子〕

5. 調査票の設計     〔杉山明子・氏家豊〕
 5.1 調査票の基本原則
 5.2 質問文の作成要領:質問の形式
 5.3 回答の形式
 5.4 属性
 5.5 無回答の分析:回答しにくい質問と回答しない人たち

6. 調査実施-個人面接法の場合-   〔杉山明子・氏家豊〕
 6.1 調査員の条件
 6.2 調査実施と管理
 6.3 調査終了後の点検
 6.4 調査実施監査
 6.5 調査の環境
  
7. 調査不能とサンプル精度   〔杉山明子・小野寺典子〕
 7.1 調査不能率の変遷
 7.2 調査不能の発生状況
 7.3 調査不能の理由
 7.4 調査不能の対策
 7.5 調査不能のサンプル構成への影響
 7.6 調査不能の調査結果への影響
 7.7 調査誤差の総合評価
 7.8 有効サンプルの属性構成

8. 集   計      〔杉山明子・森本栄一〕
 8.1 コーディング(回答の符号化)
 8.2 単純集計・クロス集計
 8.3 集計の仕方

9. 推定・検定      〔杉山明子・森本栄一〕
 9.1 パーセントの推定
 9.2 平均値の推定     〔小野寺典子〕
 9.3 パーセントの差の検定
 9.4 クロス表の検定    〔森本栄一〕

10 分析・報告      〔河野 啓〕
10.1 報告書の体裁
10.2 データをみる
10.3 より深い分析を行う
10.4 報告書を書く

付録
 A.継続調査の企画:「日本人の意識」調査を例に 〔河野 啓〕
 B.抽出台帳がない場合のサンプリング   〔朝倉真粧美〕
 C.調査実施計画     〔杉山明子・河野啓〕




*執筆分担 改訂担当/新規執筆担当
 杉山明子 編著者,1~9章,付録C/9.3節
 朝倉真粧美 -/付録B
 氏家豊  1,4,5,6章/―
 小野寺典子 1,3,7章/3.8,4.6節
 河野啓  5,8章,付録C/10章,付録A
 森本栄一 8,9章/-

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