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内容紹介
昆虫の性をめぐる行動生態をわかりやすく解説した入門書.求愛ダンス,交尾器の巨大化,父育など,昆虫のユニークで巧みな配偶戦略を題材に,性をめぐる進化がなぜ起こるのかを初歩から理解できる.進化の基本概念や実験手法についても丁寧に解説.実際の配偶行動をおさめた動画はQRコードから紹介.
編集部から
目次
■序章 性選択と性的対立―その研究略史[宮竹貴久]
■第1章 ラブの発信:求愛
○1.1 おどることは伝えること―ナナホシキンカメムシの求愛ダンスにひそむシグナル[向井裕美]
森の宝石が踊るとき/緻密な求愛の儀式/求愛ダンスに隠された振動シグナル/振動シグナルが担うもの/ダンスは情報の束である—マルチモーダルな対話
○1.2 食いつ食われつ,翅なくす―リュウキュウクチキゴキブリの雌雄が配偶時に行う翅の食い合い[大崎遥花]
配偶行動の多様性/クチキゴキブリの生態/翅の食い合いという行動/なぜ互いに食べるのか/社会形成仮説/無脊椎動物から存在する「社会」
○1.3 セミの鳴き声と配偶行動―ツクツクボウシ研究の現状と未来[児玉 建]
セミの鳴き声と配偶行動/ツクツクボウシの複雑な鳴き声/ツクツクボウシがオス同士で交わす「合の手」/主鳴音の前半パートと後半パートに機能的な違いはあるか?/主鳴音の前半パートと後半パートの順序に意味はあるか?/ツクツクボウシ研究のこれから
○1.4 テナガショウジョウバエの“求愛”行動―交尾頻度をめぐる三者関係[松尾隆嗣]
テナガショウジョウバエの性的二型と交尾行動/本当に“求愛”なのか?/ LV (Leg Vibration)と交尾頻度の進化/交尾頻度をめぐる三者関係/LV が生む新たな対立関係/闘争の意義
○1.5 死んだふりしている場合じゃない
―メスの香りで死んだふりから復活するアリモドキゾウムシのオス[日室千尋・宮竹貴久]
死んだふりとは何か/サツマイモ畑に潜む小さな侵入者,アリモドキゾウムシ/メスの存在は「死んだふり」に影響するのか/フェロモンの効果/死んだふりしている場合じゃないオス/死んだふりの可塑性
○1.6 求愛をしないオス―オスもメスも闘うヒメシュモクバエの交尾行動[工藤愛弓]
左右に眼が飛び出したハエ/眼柄の役割/日本に生息するヒメシュモクバエ/闘争行動/求愛をしないオスによる同性間配偶行動/接触前における他個体の識別/接触後における他個体の識別
■第2章 ラブのかたち:配偶システム
○2.1 サバクトビバッタのレック―雌雄の出会いを円滑にする秘訣[前野ウルド浩太郎]
雌雄の出会い/性比の偏りがもたらす争い/砂漠の中の男子校! オスだらけの奇妙な集団/オスの集団は「レック」かも/オスの集団「レック」は婚活場所?/集団別居の生態学的意義/出会いがないとき
○2.2 生物界随一のラブ―数十年続く夫婦生活を支えるシロアリ社会[高田 守]
生き物が直面する「質」か「数」かという究極の課題/質の高い子どもを大量に育てる社会性昆虫という生き物/分業が生む“専門家社会”/分業を支える生理的なメカニズム/女王の繁殖を全力支援する働きアリ/驚異的に寿命が長いシロアリの王と女王/致命的な温度から王と女王を守る秘密の王室
○2.3 ヤマトシリアゲのオスの交尾戦術―地域間比較と交尾戦術に影響を与える要因[石原 凌]
代替交尾戦術とは/ヤマトシリアゲとは/ヤマトシリアゲの代替交尾戦術/何がヤマトシリアゲの代替交尾戦術の選択に影響するのか?/ヤマトシリアゲの代替交尾戦術の決定機構はなぜ複雑?
■第3章 ラブの権化:交尾器
○3.1 オサムシにおける交尾器形態の多様化(1)―オサムシの出会いと,その生態学的,進化学的帰結[高見泰興]
オスとメスが出会うとき/性的対立/卵を減らすオス,卵を守るメス/セクシャルハラスメント,少子化,絶滅/種と種が出会うとき/生殖的形質置換/繁殖干渉と共存
○3.2 オサムシにおける交尾器形態の多様化(2)―雌雄交尾器の巨大共進化と雌雄で同調した遺伝子発現[野村翔太]
交尾器形態の多様性/交尾器形態の雌雄共進化に関わる遺伝子/オオオサムシ亜属の雌雄交尾器/遺伝子発現解析を通じた遺伝基盤の探索/ドウキョウ・マヤサン・イワワキの交尾器サイズの遺伝子発現変化
○3.3 昆虫交尾器のバイオメカニクス研究―体長より長い交尾器を操るハムシたち[松村洋子]
交尾器が体長より長い!? /オス交尾器の伸長部の機能/なぜ長くなったのか/伸長部の動きを操る―トゲアシ編―/準備運動が必要!?/曲がりやすさを測る―アオカメノコ編―
■第4章 ラブの末路:交尾後の事情
○4.1 女王アリのヒミツ―10年以上も精子を保存するメカニズム[後藤彩子]
昆虫の受精囊/メスが精子を貯蔵するメリットとデメリット/女王アリはなぜ10年以上もの間,精子を保存するのか?/精子のゆりかごである女王アリの受精囊のヒミツ
○4.2 父性解析から探るコオイムシの繁殖戦略―「やり逃げ」オスはいるか?[鈴木智也・大庭伸也・東城幸治]
動物におけるオスの仔育て事情/コオイムシの特殊な仔育て/コオイムシの親子判定を実施したところ……/やはり「やり逃げ」オスはいたが……/父育中のオスの背に産卵したいメスの事情/オスをめぐるメス間競争
○4.3 オスの移動から見るラブの魂―オスのコクヌストモドキにおける移動活性の違いが交尾前と交尾後の繁殖へ及ぼす影響[松村健太郎]
移動活性を人為的に進化させる/移動活性が異なるオスの交尾成功と被食リスク/オスの移動活性が交尾後の繫殖形質に及ぼす影響/メスからの選り好みの影響
○4.4 メスをコントロールするオス―射精物を使用したメスの再交尾抑制とその進化[日室千尋]
メスの事情,オスの事情/他オスに交尾相手を奪われないための戦術/コバネヒョウタンナガカメムシのケース/イモゾウムシのケース/害虫防除への適用
○4.5 レアなうえにアレなオス―ナナフシモドキにおける不可逆的な単為生殖[野崎友成]
単為生殖とは何か:近視眼的な増殖戦略の陰で捨てられるオス/「消えたオス」の進化的な運命と残された設計図/ナナフシの繁殖戦略と「レアなオス」/ナナフシモドキの「レアなオス」研究:「幻」の実態/ナナフシモドキの「レアなオス」に意味はあるのか/トゲナナフシでの「単為生殖」と「レアなオス」/進化の袋小路と「ラブ」の行方
あとがき
索引

執筆者紹介
編集者
宮竹貴久 岡山大学農学部
日室千尋 岐阜大学応用生物科学部
執筆者(五十音順)
石原 凌 信州大学理学部
大崎遥花 兵庫県立人と自然の博物館
大庭伸也 長崎大学人文社会科学域
工藤愛弓 山口大学創成科学研究科
児玉 建 長野大学淡水生物学研究所
後藤彩子 甲南大学理工学部
鈴木智也 広島修道大学人間環境学部
高田 守 京都大学大学院農学研究科
高見泰興 神戸大学大学院人間発達環境学研究科
東城幸治 信州大学学術研究院
野崎友成 基礎生物学研究所
野村翔太 国立遺伝学研究所
日室千尋 岐阜大学応用生物科学部
前野ウルド浩太郎 国際農林水産業研究センター
松尾隆嗣 東京大学大学院農学生命科学研究科
松村健太郎 東京大学大学院総合文化研究科
松村洋子 ウィーン大学進化生物学
宮竹貴久 岡山大学農学部
向井裕美 森林総合研究所

























