ローゼンバウム 因果推論とは何か

ポールR. ローゼンバウム(著)/高田 悠矢高橋 耕史(監訳)

ポールR. ローゼンバウム(著)/高田 悠矢高橋 耕史(監訳)

定価 2,420 円(本体 2,200 円+税)

B6判/152ページ
発売予定日:2024年10月12日
ISBN:978-4-254-12306-7 C3041

    近日発売予定です

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内容紹介

Paul R. Rosenbaum著,"Causal Inference" (MIT Press, 2023)の全訳.代表的な研究者の一人・ローゼンバウムが因果推論の基本的な考え方をわかりやすく解説する入門書.数式をほとんど用いず,医学・疫学・経済・公共政策など多様な分野の事例を取り上げながら,無作為化実験・傾向スコア・自然実験・操作変数・感度分析・疑似実験などの重要な概念を説明する.因果推論について知りたいすべての人に.

編集部から

〔監訳者まえがきより〕

因果推論(causal inference)が,近年の統計学や機械学習における最重要トピックの1つであることは,もはや言及するまでもないことかもしれません.20世紀後半から現在に至る統計学の発展を支えているのは,本書の中心である因果モデルとそれに基づく因果効果の推定であるといっても過言ではないでしょう.また,昨今では,因果推論と機械学習の融合技術への注目も高まっています.
因果推論は,経済学・医学・心理学・社会学・教育学,さらには,マーケティング実務,政府の政策評価などでも利用されています.本書でもその著作が紹介されているジョシュア・アングリスト,デヴィッド・カード,グイド・インベンスは,経済学分野で自然実験の枠組みを大きく発展させ,2021年にノーベル経済学賞を受賞しました.
著者のポールR.ローゼンバウムは,1983年,彼のハーバード大学での指導教官であったドナルドB.ルービンとの共著論文において,傾向スコア(propensity score)を導入したことで広く知られるようになりました.その後も因果推論の分野で多くの成果を残し続けており,この分野の発展の礎を築いた開拓者の1人といえます.
因果推論の「教科書」としては,こうした開拓者たち自身が執筆した良書の邦訳がすでにいくつか存在します.たとえば,本書の著者であるローゼンバウムが執筆したObservation and Experiment: An Introduction to Causal Inference(Harvard University Press, 2017)や,インベンスとルービンが執筆したCausal Inference for Statistics, Social, and Biomedical Sciences: An Introduction(Cambridge University Press, 2015)などが挙げられます.
一方,本書は教科書ではありません.もちろん,教科書としても活用いただきたいと思いますが,少なくとも「典型的な教科書」ではないといえます.本書は,The MIT Press Essential Knowledge series というシリーズに属しています.このシリーズは,専門的なテーマについて扱っていますが,基本的な概念から丁寧に説明し,理解しやすくコンパクトにまとめることで,一般の読者が重要なトピックに触れる機会を創出することを企図しています.本書では,数式はほとんど用いられておらず,数学的な概念は可能なかぎり言葉に置き換えて説明しています.また,豊富な事例を用いることで,常に実際の活用シーンを思い浮かべながら読み進めることができるようになっています.
ゆえに本書は,因果推論という分野に興味を持っているが,まだ本格的に学ぼうか迷われている方に読んでいただけると大変嬉しく思います.因果推論を本格的に学ぼうとしている方は,典型的な教科書と「ともに」読んでいただくと非常に有益であるはずです.また,すでに教科書を読み込んで概念を十分に理解している方にとっては,学んだ内容を実践で使う際の有用な道標となるかと思います.
もっとも,「専門的なテーマを一般の読者にも理解しやすくコンパクトにまとめる」という野心的な試みがなされた書籍であるがゆえ,翻訳にはかなり苦しみました.可能なかぎり,表現を補ったり,訳注を追加したりと最善は尽くしたつもりですが,原著の「理解のしやすさ」を毀損してしまったかもしれません.その責任はすべて私たち監訳者にあります.
最後に,本書の翻訳メンバーである岩田大地氏,木幡賢人氏,白木紀行氏,高野俊作氏,高橋野以氏,本書の翻訳・編集をサポートしてくださった,朝倉書店編集部に改めて,感謝申し上げます.

2024年9月 監訳者 高田悠矢・高橋耕史

目次

1. 処置による効果
2. 無作為化実験
3. 観察研究─問題点の考察─
4. 測定された共変量の調整
5. 測定されていない共変量に対する感度
6. 観察研究のデザインにおける疑似実験的手法
7. 自然実験,不連続性,操作変数
8. 再現,解像度,エビデンス因子
9. 因果推論における不確実性と複雑さ
キーアイデア
用語解説
注釈
文献
参考図書
索引
著者について

執筆者紹介

【監訳者】
高田悠矢(たかだ ゆうや) Re Data Science株式会社 代表取締役社長.1985年生まれ.2010年 東京大学工学系研究科修了,日本銀行入行.2015年 株式会社リクルート入社.2021年 Re Data Science株式会社創業.修士(工学)

高橋耕史(たかはし こうじ) 日本銀行企画役.1984年生まれ.2007年 東京大学経済学部卒業,日本銀行入行.2017年 カリフォルニア大学サンディエゴ校経済学部博士課程修了.2021年 国際決済銀行出向.博士(経済学)

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