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シリーズ〈災害と情報〉 2 災害とコミュニケーション
東京大学大学院情報学環総合防災情報研究センター(監修)/田中 淳・小林 秀行(編)
東京大学大学院情報学環総合防災情報研究センター(監修)/田中 淳・小林 秀行(編)
定価 3,520 円(本体 3,200 円+税)
A5判/184ページ
刊行日:2026年09月01日
ISBN:978-4-254-16085-7 C3344
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- 『災害とコミュニケーション』カラー図_20260828.pdf
※ 『災害とコミュニケーション』図版より、一部カラーでの閲覧用に掲載します。
内容紹介
災害における情報を中心としたソフト対策について、これまでの研究知見を体系化し理論をまとめたシリーズの第2巻。〔内容〕災害情報の特質と課題/急地震速報に関する人々の意識と対応/災害復興と情報/既往最大から科学的最大限など、災害情報の設計/被害想定/国際機関と防災/放送と災害/民間放送と災害 ほか
編集部から
はじめに
災害情報に関連する研究は,1970年代後半からの東京大学新聞研究所「災害と情報」研究班に遡ることができる.この研究班は,岡部慶三,田崎篤郎そして廣井脩と引き継がれ,マスコミュニケーション研究,もう少し広げてコミュニケーション研究から,地震予知情報や気象予警報など災害に関わる情報の社会的受容や利用実態とその課題とを実証的に明らかにしていった.
その後,廣井は理学や工学の研究者や行政,マスメディア,コンサルタントなど多様なメンバーとともに,1999年に日本災害情報学会を立ち上げた.廣井の逝去後,その御遺志を継ぐべく,2008年に地震研究所と生産技術研究所と連携した総合防災情報研究センターが東京大学大学院情報学環に設立された.
第2巻の執筆者は,設立当初から日本災害情報学会ならびに災害情報研究をけん引してきた重鎮が多い.また,総合防災情報研究センターでともに学び,これからの学会活動と研究を支える若手も含まれている.そういう意味では,執筆者は,災害情報に関連する分野のなかでも,上記の限定的な範囲となっている.
それでも,内容は多岐にわたる.対象とする災害も,豪雨災害や暴風災害,河川の氾濫,土砂災害,そして地震・津波災害や火山の噴火災害など多様化していった.その間には,津波警報や緊急地震速報,竜巻注意情報など,メディアを通して即時に伝え,対象となる地域の住民は即時に活用する必要のある災害情報も登場してきた.
放送局や新聞社などのマスメディアは,これらの新たな災害情報を伝えるためにシステム的な対応をしていくとともに,多くの災害体験を教訓に体制の整備や放送内容の充実,他社との連携などを図っていった.その過程で,警報の伝達のみならず,防災の呼びかけといった予防報道も重視していった.他方,メディア自体にも,携帯電話の浸透やSNS,Webニュース,あるいはミニFM局やCATV局のローカル放送といった新たな動きが急速に進んだ.この新たなメディアの登場は,情報の伝達や共有の新たな可能性や新たな課題を生み出すとともに,社会の多様化や共生社会への関心の高まりを背景に,災害時においても,それぞれの個人の特性への配慮が意識されるようになってきている.
情報伝達とともに情報共有のあり方も問われている.応急期から復興期にかけては,行政組織やNGO・NPO,自主防災組織や町内会といった地域組織,事業所,さらには当然のことではあるが住民が主体として関与する.災害対応では,これら多くの主体間で,被災状況や復旧状況,被災者のニーズに加えて,役割や理念を共有し,ふさわしい対応を模索し,調整していく協働の過程とみなされるようになってきている.復興という局面では,環境が大きく異なるうえに,被災者は経済的にも,社会的にも,ライフステージとしても多様であることから,それぞれの地域に,そしてそれぞれの被災者に寄り添っていく視座が重視されるようになってきた.
しかし,災害が切迫しあるいは被害が発生した状況下で,多くの主体の間で調整をすることは容易ではない.このため,災害発生前から,協働の場やその仕方を計画する,さらには目指すべき復興そのものを事前から地域で協議し計画策定するといった活動や考え方が出てきている.
ここでも,事前からの防災の呼びかけと同様に,災害発生前の準備と計画へと連接されていく.防災教育ないしは災害に対する地域文化の醸成である.しかし,災害のリスクを正しく認識することは,災害が実際に発生する前では容易ではない.災害のイメージを共有する道具のひとつとして,ハザードマップや被害想定がある.いずれも予想される災害で生じうる被害を事前に想定し,可視化したり,防災対策に活かしたりすることを目的としている.
災害情報の研究は,実践的研究である.また関係する多様な主体が関わる必要があるし,また実際に多様な主体が関わってきた.そのため,災害情報の研究は広がりを見せてきている.第2巻では,一部ではあるかもしれないが,その広がりと多様性を示すことができていればと願う.
最後になるが,企画から発刊まで,実に長い期間を要した.これまでの時間,粘り強く本シリーズの発刊に向けてご尽力いただいた朝倉書店編集部の皆様に,この場を借りて深く御礼の言葉を申し上げたい.
2026年8月
田中 淳
目次
第I部 情報
1章 災害情報の特質と課題─緊急時の災害情報からみる─〔田中 淳〕
1.1 記録的短時間大雨情報と土砂災害警戒情報
1.2 対応行動に基づくレベル化
1.3 特別警報とレベル化
1.4 災害情報の課題
2章 緊急地震速報に関する人々の意識と対応〔中森広道〕
2.1 緊急地震速報とは
2.2 緊急地震速報の導入と人々の意識
2.3 近年の緊急地震速報に関する人々の意識・評価
2.4 実際に発表された緊急地震速報の事例からの検証
2.5 緊急地震速報の現状と課題
3章 災害復興と情報─被災者の道具立てとしての復興シンボル─〔小林秀行〕
3.1 災害復興を情報という視点から捉える
3.2 日本における災害復興の特徴
3.3 災害復興の相互依存性
3.4 復興シンボルへの着目
3.5 仙台市南蒲生地区における災害復興とシンボル
4章 既往最大から科学的最大限など,災害情報の設計〔横田 崇〕
4.1 被害想定と防災対策の検討と防災情報の設計
4.2 過去地震に対する防災対策と防災情報の検討経緯など
4.3 想定東海地震に関する情報へのカラーレベルの導入
4.4 津波警報の変遷と設計の基本的な考え方
4.5 気象庁における地震情報と震度情報発表の経緯と速報化
4.6 緊急地震速報
4.7 噴火警戒レベルによるカラーレベルと防災キーワードの導入
4.8 最大クラスの地震・津波に対する特別の呼びかけの情報
5章 被害想定〔安本真也〕
5.1 被害想定とは何か
5.2 地震の被害想定
5.3 地震以外の災害の被害想定
5.4 被害想定をいかに活用していくのか
6章 国際機関と防災〔地引泰人〕
6.1 国際機関の選定
6.2 「国際防災」の特徴
6.3 UNOCHAとUNDRR
6.4 世界銀行
6.5 欧州委員会
6.6 IFRC
6.7 ISO
6.8 IAEA とOECD/NEA
6.9 二国間援助機関とポスト2030年に向けて
第II部 メディア
7章 放送と災害〔山﨑 登〕
7.1 関東大震災が後押ししたラジオ放送の始まり
7.2 「隠された大地震」昭和東南海地震
7.3 被害を伝える報道から予報と防災の報道へ
7.4 地震予知から地震発生までをどのように伝えるか─東海地震─
7.5 現在の科学をどう防災に生かすのか─南海トラフ地震臨時情報─
7.6 正確な情報を迅速に,きめ細かく─阪神・淡路大震災─
7.7 未曾有の大災害に立ち向かった─東日本大震災─
7.8 ますます重要になる放送の役割
8章 民間放送と災害〔谷原和憲〕
8.1 災害放送と法律
8.2 民放テレビが伝える災害放送
8.3 視聴者のため「足並みを揃える」
8.4 新たな災害情報─低頻度大規模災害「不確実な予測情報」をどう伝えるか?─
9章 多様化する防災通信メディアと携帯依存〔中村 功〕
9.1 防災通信メディアの選択法
9.2 技術的特性
9.3 社会的特性
9.4 利用者の人間的特性
9.5 携帯依存の危険性
10章 ローカル・メディアと避難〔宇田川真之〕
10.1 避難と情報
10.2 応急期の地域コミュニケーション
11章 災害とソーシャル・キャピタル〔薛 欣怡〕
11.1 東日本大震災の「絆」
11.2 ソーシャル・キャピタルとは何か
11.3 災害とソーシャル・キャピタル
11.4 復旧・復興段階における高齢者のソーシャル・キャピタルに焦点を当てて
12章 災害時の支援における組織間連携〔重松貴子〕
12.1 災害時の組織類型および組織の運営形態に関する既存研究
12.2 災害ボランティアにおける組織運営のあり方
12.3 本章の分析枠組み
12.4 日本における災害ボランティアの組織間調整の試み
13章 在留外国人と防災〔黄 欣悦〕
13.1 災害における外国人の課題
13.2 防災情報接触意図に関連する理論
13.3 平常時の防災情報接触意図の規定因
13.4 外国人の平常時の防災情報接触意図の規定因
索引

執筆者紹介
・監修
東京大学大学院情報学環総合防災情報研究センター
・シリーズ編集
田中 淳 東京大学名誉教授
関谷直也 東京大学
秦 康範 日本大学
小林秀行 明治大学
・編集
田中 淳 東京大学名誉教授
小林秀行 明治大学
・執筆者(五十音順)
宇田川真之 防災科学技術研究所
黄 欣悦 東京大学
小林秀行 明治大学
重松貴子 (株)社会安全研究所
地引泰人 東京大学
薛 欣怡 前東京大学
田中 淳 東京大学名誉教授
谷原和憲 日本テレビ放送網(株)
中村 功 東洋大学
中森広道 日本大学
安本真也 東京大学
山﨑 登 国士舘大学名誉教授
横田 崇 愛知工業大



























