朝倉化学大系 14 天然物化学・生物有機化学II ―全合成・生物有機化学―

北川 勲磯部 稔(著)

北川 勲磯部 稔(著)

定価 5,940 円(本体 5,400 円+税)

A5判/292ページ
刊行日:2008年06月30日
ISBN:978-4-254-14644-8 C3343

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内容紹介

深化した今世紀の学の姿。〔内容〕天然物質の全合成(バーノレピン/メイタンシン/オカダ酸/トートマイシン/フグ毒テトロドトキシン)/生物有機化学(視物質/生物発光/タンパク質脱リン酸酵素/昆虫休眠/特殊な機能をもつ化合物)

編集部から

「ノーベル化学賞の関連書」
ノーベル化学賞受賞の下村脩氏が発見した蛍光タンパク質についての最近の研究が,本書の「23.12 クラゲの生物発光,エクオリンとGFP」の項目で紹介されています。

目次

V 天然物質の全合成

17 抗腫瘍活性をもつセスキテルペン・バーノレピンの合成
 17.1 Griecoの合成―生合成仮説にのっとった逆合成解析― 
 17.2 Danishefskyの合成―エポキシドの開環反応を鍵とする全合成― 
 17.3 Isobeの合成―極性を考慮した共役付加反応を鍵とする全合成― 
 17.4 Vandewalleの合成―シクロプロパン中間体を分子内カルベン付加した例― 
 17.5 Wakamatsuの合成―分子内アルキル化により立体化学を達成した例― 
 17.6 Shibasakiの合成―分子内Heck反応により不斉合成を達成した例―
 
18 抗腫瘍活性をもつアンサマクロリド・メイタンシンの合成
 18.1 目的物質の設定 
 18.2 逆合成解析 
 18.3 新合成方法論の開発 
 18.4 鎖状不斉立体制御反応 
 18.5 ヘテロ共役付加反応のメイタンシンへの適用 
 18.6 アクロレイン2量体からラセミ型鍵化合物の合成 
 18.7 メイタンシン左側セグメントの合成 
 18.8 左右セグメントのカップリングと基質制御エポキシ化 
 18.9 N-メチルメイセニン・メイシンの全合成 
 18.10 ラセミ型メイタンシノールの合成 
 18.11 光学活性メイタンシノールの全合成 
 18.12 Coreyらの合成 

19 タンパク質脱リン酸酵素阻害作用をもつオカダ酸の合成
 19.1 オカダ酸の逆合成解析 
 19.2 セグメントA1の合成 
 19.3 セグメントA2の合成とanti選択性への切り替え 
 19.4 セグメントAの合成 
 19.5 セグメントBの合成と問題点 
 19.6 セグメントCの合成 
 19.7 セグメントBCの合成 
 19.8 セグメントA+BCカップリングによるオカダ酸の全合成 
 19.9 Forsythの全合成 
 19.10 Leyの全合成(1998年)

20 タンパク質脱リン酸酵素阻害剤トートマイシンの全合成
 20.1 プロテインホスファターゼ阻害剤トートマイシンの逆合成に向けて
 20.2 トートマイシン全合成の課題 
 20.3 トートマイシンの逆合成解析 
 20.4 サブセグメントB1の合成
 20.5 サブセグメントB2の合成
 20.6 サブセグメントB1とB2のカップリング 
 20.7 サブセグメントC1の合成
 20.8 サブセグメントC2の合成(その1)
 20.9 サブセグメントC2の合成(その2)
 20.10 6,7-ジエピサブセグメントC2(鏡像体)の合成 
 20.11 サブセグメントC1-C2のカップリング 
 20.12 オカダ酸型セグメントCとB-エポキシドとのカップリング
 20.13 第1世代のトートマイシン全合成 
 20.14 トートマイシンの改良全合成 
 20.15 Ichihara-Oikawaのトートマイシン全合成 
 20.16 トートマイシンC1-10フラグメントの合成 
 20.17 C11-18セグメントの合成とC1-10セグメントとのカップリングと全合成 
 20.18 Shibasakiらのトートマイシン全合成 
 20.19 Chamberlinのトートマイシン合成 
 20.20 トートマイシンの全合成研究から得たもの 
 20.21 活性発現分子機構にもとづく分子設計―ハイブリッド分子の合成―
 
21 フグ毒テトロドトキシンの合成
 21.1 インドールアルカロイド合成モデル 
 21.2 3級炭素への窒素官能基導入法,ルート決定までの試み 
 21.3 テトロドトキシンの逆合成解析 
 21.4 5,11-ジデオキシテトロドトキシンの合成 
 21.5 11-デオキシテトロドトキシンの合成 
 21.6 テトロドトキシンの全合成 
 21.7 Claisen転位方略によるはじめての光学活性テトロドトキシンの不斉全合成 
 21.8 DuBoisらの全合成 
 21.9 Sato-Yoshimuraのミオイノシトールからのテトロドトキシン全合成

VI 生物有機化学

22 視物質の生物有機化学
 22.1 レチナールの11-cis・trans異性化 
 22.2 ロドプシン中のレチナールのUV吸収 
 22.3 ロドプシン中のレチナールのBC面のねじれ構造 
 22.4 ロドプシン中のレチナールのAB面のねじれ構造 
 22.5 ロドプシン中のレチナールの動き 

23 生物発光の化学
 23.1 生物発光研究の歴史 
 23.2 いろいろな発光生物 
 23.3 発光物質の取り扱い 
 23.4 ウミホタルの生物発光 
 23.5 トビイカの生物発光 
 23.6 セレンテラジン系の短寿命発光中間体の低温光酸素化による合成 
 23.7 短寿命発光中間体の低温NMRによる構造証明
 23.8 トビイカ生物発光タンパクのペプチドモデル 
 23.9 トビイカ生物発光タンパクに非可逆的に結合する発光素子の設計 
 23.10 トビイカ発光タンパク質のアミノ酸配列 
 23.11 トビイカ発光タンパク質の活性中心 
 23.12 クラゲの生物発光,エクオリンとGFP 
 23.13 その他の腔腸動物の発光 

24 タンパク質脱リン酸酵素とその阻害剤との分子間相互作用
 24.1 ホスファターゼの分類 
 24.2 ホスファターゼと阻害剤の複合体 
 24.3 トートマイシンの活性評価と化学的性質
 24.4 ハイブリッド分子の合成―全合成を完成しているから可能となること― 
 24.5 NMRによってできること・できないこと 
 24.6 分子プローブの利用と思わぬ効果 
 24.7 13C18, 19, 21, 22トートマイシンの合成
 24.8 タンパク質との相互作用解析 
 24.9 構造生物学からの展開 
 24.10 生物発光による超微量生物検定 
 24.11 質量分析によるタンパク質分子の動き・動的解析 

25 昆虫休眠の生物有機化学
 25.1 ペプチドとしての休眠ホルモンと役割 
 25.2 休眠ホルモンとPIN 
 25.3 昆虫休眠覚醒の時間読みタンパク質TIME-EA4の構造
 25.4 時間読みタンパク質TIME-EA4の糖鎖構造 
 25.5 時間読みタンパク質TIME-EA4の糖鎖結合位置決定 
 25.6 時間読みタンパク質TIME-EA4の全構造および金属イオンをとりまく環境 
 25.7 Zu,Cu-SODとの比較とピンポイント酸化修飾法の確立 
 25.8 時間読みタンパク質TIME-EA4の金属リガンドの証明と全構造 
 25.9 時間読みタンパク質TIME-EA4の金属部位の変化 
 25.10 もう一つの銅イオンと時間読みタンパク質TIME-EA4の時間読み機構 

26 特別な機能をもつ化合物の生物有機化学
 26.1 カリウム選択的イオノホア・セレウリドの高次構造と機能 
 26.2 セレウリドの複合体形成能と嘔吐毒性の関係 
 26.3 セレウリドの分子多様性 
 26.4 硫酸エステル・リン酸エステル構造をどう区別するか 
 26.5 H/D交換法に基づく構造決定 
 26.6 材料の入手が難しい物質の超微量構造決定
 26.7 機器分析だけではどうしても解決できない構造決定―マリンガマイドX― 
 26.8 Nakanishiのイチョウの実から得られるギンコライドの誘導化

あとがき 
事項索引 
人名索引 

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